離婚協議書は公正証書で作成するのが望ましいですが、当事者間で、養育費や慰謝料の定め、その他財産分与に関し、長期に渡る請求等が無い場合や、「自分たちは私文書の離婚協議書でも大丈夫!」とお考えの場合にはには私文書でも良いと思います。
離婚協議書は勿論、当事者様だけで作成することも可能です。当事者様で離婚協議書を作成する場合の文例と作成のポイントを紹介いたします。
離婚協議書
夫◯◯××(以下「甲」という。)及び妻◯◯△△(以下「乙」という。)は、離婚について下記のとおり合意する。
第1条(親権・監護権)
甲乙間の子である◯◯×△(平成22年◯月×日生)(以下「丙」という。)及び◯◯×□(平成23年◯ 月××日生)(以下「丁」という。)の親権者・監護権者をいずれも乙と定める。
(ポイント)
- お子様の親権者・監護権者を確定させ、各お子様の名前と生年月日を記載します。
第2条(養育費の支払等)
甲は乙に対し、丙及び丁の養育費として丙につき月額金3万円、丁につき月額金3万円を丙及び丁に対し、それぞれ満20歳に達する日の属する月まで、毎月末日限り乙の指定する下記金融機関の口座に振り込む方法により支払う。尚、振込に要する費用は甲の負担とする。
記
金融機関名 東京第一銀行
支 店 名 渋谷支店
口座名義人 〇〇△△(マルマル サンカクサンカク)
口 座 番 号 12345678
(ポイント)
- 養育費はどのお子様につき月額いくらか記載します。又、養育費支払の終期を明記します。一般的には「満20際に達する日の属する月まで」となさる方が多いようです。しかし、お子様が大学等に進学した場合など、未だ独自に生計を立てていると言えない状況にある場合は養育費が発生しうるというのが法的見解です。大学等進学する場合も養育費を要求する場合には下記のように文言を付け足します。
「前項の規定にかかわらず、丙及び丁が大学等に進学した場合は養育費支払の終期は大学等を卒業する年の3月又は満22際に達した後、最初に来る3月までのいずれか早い日とする。」
などと記載します。いずれにしましても終期をはっきりさせることが重要となります。
- 養育費の額の目安は当サイトの「養育費の額」をご参照ください。
- 振込先金融機関は口座に明記しておくほうが望ましいです。その際に振込手数料の負担に関しても明記しておきましょう。
第3条(面会交流)
乙は丙及び丁の福祉に最大限配慮し甲が丙及び丁と面会交流することを認める。
(ポイント)
- 面会交流に関し、細かく定めることは可能ですが(例えば「毎週土曜日の午前9時から11時まで」など)、ある程度の未来も見越し、あくまで「子の福祉に配慮」して現実的に定めることが必要です。
第4条(慰謝料)
甲は乙に慰謝料として金50万円の支払義務があることを認め、平成26年×月×日までに第2条記載の金融機関の口座に振り込む方法により支払う。尚、振込に要する費用は甲の負担とする。
(ポイント)
- 当事者間で慰謝料に関する取り決めがある場合は慰謝料の額、支払期日を明記します。養育費同様に振込の場合は口座もしている方が望ましいです。
第5条(財産分与)
甲は乙に対し本件離婚に伴う財産分与として下記不動産の持分全部を譲渡する。
(1棟の建物の表示)
所在 ◯◯市◯×町一丁目35番地
建物の名称 レオマンション
(専有部分の建物の表示)
家 屋 番 号 35番の201
建物の名称 201号
種 類 居宅
構 造 鉄筋造1階建
床 面 積 2階部分 60.12u
(敷地権の表示)
所在及び地番 ◯◯市◯×町一丁目35番
地 目 宅地
地 積 500.00u
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 1,000分の35
持 分 甲2分の1
乙2分の1
(ポイント)
- 不動産の財産分与に関しては不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得するか、不動産購入時の契約書などを参照して正確に不動産情報を記載します。
- その他、銀行預金、車、家財道具等も分与財産となりますので、あとで揉めそうな場合には細かく記載しておくことが好ましいです。
第6条(年金分割)
甲(第1号改定者)と乙(第2号改定者)は、厚生労働大臣に対し、対象期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を0.5とする旨合意する。
甲(昭和55年5月5日生、基礎年金番号5555−5555)
乙(昭和54年4月4日生、基礎年金番号4555−5555)
(ポイント)
- 年金分割の合意に関しては当サイト「年金分割」をご参照ください。
第7条(通知義務)
甲及び乙は住所、居所、職場等の変更が生じた場合は、必要な範囲内でお互いに知らせなければならない。
(ポイント)
- 養育費や慰謝料の支払が滞った場合に相手方の行方がわからないと請求ができない場合がありますので、重要な変更事項が生じた場合には通知しあう義務を記載します。
第8条(清算条項)
甲及び乙は本件離婚に関し、以上をもって円満に解決したことを確認し、上記の各条項のほか、名義の如何を問わず、金銭その他の請求を相互にしない。
(ポイント)
- この協議をもってその他に請求することはないという内容で、いわば「締め」の条項です。必ず記載しましょう。
平成26年△月◯日
甲 (住所)兵庫県〇〇市〇〇町1丁目1番1号
(氏名)◯◯ ×× 押印
乙 (住所)兵庫県〇〇市〇〇町1丁目1番1号
(氏名)◯◯ △△ 押印
(ポイント)
- 日付を入れ各自住所、氏名を記載し(自筆が好ましい)押印します(実印が望ましい)。

公正証書の場合にはこの他にも「強制執行認諾文言」を記載します。離婚公正証書に関しては当サイト「離婚公正証書作成」をご参照ください。
ご留意下さい!
当事務所でのご相談は書類作成に関する内容のみとなっており,慰謝料の算定や報酬目的の離婚相談など,弁護士法72条(非弁行為)に抵触する業務は行うことが出来ません。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。